海外工場への支払い条件をどう決めるか|前金・検品・残金を工程連動させる

結論:支払日は日付ではなく「完了条件」と結び付ける
海外工場との取引では、契約時に前金を払い、残金を出荷前に支払う条件が提示されることが多い。工場が材料を購入し生産枠を確保するため前金が必要なのは合理的だが、買主側は残金支払いと品質確認を連動させる必要がある。
最初に契約相手と送金先を確認する
契約書の売主名、Proforma Invoiceの発行者、銀行口座名義を照合する。営業会社と工場が別法人なら、その関係を確認する。担当者から突然別口座への送金を依頼された場合は、メールだけで判断せず既知の連絡手段で確認する。
支払いをマイルストーン化する
例えば「契約成立」「材料・サンプル承認」「量産完了」「出荷前検品合格」などを支払条件と関連付ける。具体的な割合は取引規模や工場との関係によって異なるため一律ではないが、重要なのは残金支払い前に完成品を確認できる仕組みを持つことである。
不良発見時の処理を契約に入れる
検品で重大な不良が見つかった場合、修正または再製作後に再検査し、合格後に次の支払いへ進む条件を検討する。「品質に問題があれば協議する」だけでは判断基準が曖昧になるため、承認図、材料表、マスターサンプルを契約添付資料として品質基準を明確にする。
為替条件も確認する
人民元、米ドル、日本円のどの通貨で契約するかによって買主側の為替リスクが変わる。長期案件では見積有効期限と、原材料価格・為替変動を理由とする価格改定条件を確認する。
証拠を案件単位で保存する
契約書、PI、送金記録、承認図、チャット、サンプル承認、検品報告、積込写真を案件フォルダへ保存する。問題が発生した際に重要なのは「誰が何を言ったか」ではなく「どの仕様をいつ承認したか」である。
チェックポイント
- 契約法人と口座名義を確認する
- 前金の目的を理解する
- 残金を検品と連動させる
- 不良修正後の再検査条件を決める
- 見積通貨と有効期限を確認する
- 取引記録を保存する
良い工場との長期取引でも書面管理は必要である。明確な支払条件は工場を疑うためではなく、双方が同じ工程と品質基準を共有するための仕組みになる。
