定期建物賃貸借で飲食店を出す前に考えること―投資回収期間と再契約リスク

定期借家は「更新できる前提」で投資しない
飲食店物件では定期建物賃貸借契約が利用されることがあります。定期建物賃貸借では契約期間満了により賃貸借が終了する仕組みであり、再契約できる場合があっても、それを当然の権利として事業計画に組み込むべきではありません。
数千万円規模の内装・厨房投資を行う店では、契約期間内で投資を回収できるかが物件判断の中心になります。
内装投資を契約年数で割って考える
例えば内装・厨房・設計等に3,000万円を投資し、契約期間が5年なら、単純化すれば年間600万円、月50万円相当を期間内に回収する必要があります。これに賃料、人件費、原材料費、借入返済などが加わります。
契約期間10年と5年では同じ賃料でも投資可能額が変わります。
再契約条件は未確定要素
募集時に「再契約相談」と書かれていても、将来の再契約が保証されるとは限りません。建替え、再開発、貸主の方針変更、賃料条件変更などが起こり得ます。再契約料が設定される契約もあります。
中途解約条項も重要
契約期間が長ければ安全というわけではありません。売上不振時に中途解約できるか、何か月前予告か、違約金があるかを確認します。国税庁は建物賃貸借の中途解約に伴う違約金について、逸失利益を補填する性質のものは消費税の課税対象にならないと案内していますが、実際の契約上の負担額そのものは事前に把握する必要があります。
退去時原状回復まで契約期間に入れる
満了日まで営業できるとは限りません。大規模なスケルトン戻しが必要なら、営業終了後に解体工事期間を確保しなければなりません。契約満了日から逆算し、何日前に営業終了する必要があるかを計算します。
定期借家で確認する項目
- 契約開始日と満了日
- 再契約の可否と手続き
- 再契約料の有無
- 中途解約権
- 解約予告期間
- 違約金
- 原状回復内容
- 建替え・再開発予定
投資判断は「残存契約期間」で行う
居抜き店舗を途中から引き継ぐ場合などは、残存期間が短いことがあります。設備が安く取得できても、残り3年しか営業できないなら新規設備投資を回収できない可能性があります。
定期借家物件は悪い物件ではありません。むしろ期間が明確なので投資計画を立てやすい面もあります。ただし、再契約を前提にせず、契約期間、投資額、撤退費用を一つのキャッシュフローとして計算してから契約することが重要です。