中国工場への追加発注で色が合わない理由|チェーン店家具の再現性を高める方法

「前回と同じ」は仕様ではない
飲食店を多店舗展開すると、中国工場へ「1号店と同じ家具を追加してください」と依頼することがある。しかし半年、一年後に同じ工場へ発注しても、色、木目、金物などが完全に同じになるとは限らない。
追加発注を成功させるには、初回注文の時点から再生産を想定してデータを保存する必要がある。
色が変わる主な理由
- 木材ロットが違う
- 天然突板の木目差
- 塗料の調色差
- 化粧板の生産ロット差
- 布地の染色ロット差
- 工場の塗装担当者が変わった
天然素材の場合、完全一致が物理的に難しいことも理解する必要がある。
初回の「マスターサンプル」を保存する
承認した木部、金属、布、石材などのサンプルを工場と日本側で保管する。追加生産時には写真ではなくマスターサンプルと比較する。
サンプルには案件名、品番、承認日を記載し、別案件のサンプルと混ざらないよう管理する。
BOMを保存する
家具の完成図面だけでは、内部で使用した金物や材料の詳細が分からない。BOMにメーカー、型番、色番号などを保存する。
追加発注時には工場へ「すべての材料が前回と同じか」を確認し、変更があれば量産前に報告させる。
廃番リスクを考える
化粧板、張地、金物、LEDなどはメーカーが製品を廃番にする可能性がある。チェーン店で5年間同じ内装を使う予定でも、部材メーカーが同じ商品を供給し続ける保証はない。
ブランドの統一感に直結する特殊材料については、初回に予備材を購入して保管する方法も検討する。
金型・治具も管理する
専用金型や治具を使用している場合、工場での保管期間、所有権、メンテナンス方法を確認する。長期間使用しない金型が廃棄される可能性も考える。
追加発注でもサンプル確認する
「前回問題なかった工場だから」とサンプル確認を省略すると、材料変更を見落とす。特に色や表面材が重要な商品は、追加生産時にも量産前サンプルを確認する。
店舗番号ではなく商品番号で管理する
「渋谷店のテーブル」ではなく、TB-001-R02のような商品コードとRevisionで管理する。店舗ごとに寸法が変わった場合も履歴を追跡できる。
| 保存情報 | 目的 |
|---|---|
| 最終図面 | 寸法・構造再現 |
| BOM | 部材再現 |
| マスターサンプル | 色・仕上げ比較 |
| 検品記録 | 品質基準再利用 |
| 梱包仕様 | 物流品質再現 |
工場を変更する場合にもデータが役立つ
中国工場が廃業したり、価格や品質の問題でサプライヤーを変更したりする可能性もある。図面と材料情報を自社で管理していれば、新工場への移管が容易になる。
逆にすべての情報を工場だけが持っていると、取引先を変更できない状態になる。
多店舗展開のチェックポイント
- 商品コードを設定する
- 最終図面を自社保存する
- BOMを取得する
- マスターサンプルを保存する
- 廃番リスクの高い材料を把握する
- 追加発注時にも変更確認を行う
- 金型・治具の保管条件を確認する
中国工場をチェーン店のサプライヤーとして使う場合、初回価格の安さ以上に「同じものを繰り返し作れるか」が重要になる。再現性は工場の記憶ではなく、図面、BOM、サンプル、検品記録というデータで作るべきである。
