秋商戦に季節商品が相次ぐ
モスフードサービスは2026年8月28日から、紫いもを使った「熱々 おさつボール」と「まぜるシェイク 蜜いも」を期間限定で発売した。一方、ドミノ・ピザは8月17日から、若手シェフが考案した「裏ドミノ」を期間限定で展開している。両社の商品は全く異なるが、原材料費が上昇する現在のメニュー開発を考えるうえで共通点がある。それは、ゼロから複雑な新商品を作るのではなく、既存の調理設備、食材、ブランド認知を活用して新鮮さを出している点だ。
新商品開発で最大のリスクはSKU増加
飲食店が季節商品を増やすと、仕入品目、保管スペース、教育時間、調理工程が増える。売れなければ限定食材が廃棄となり、原価率を悪化させる。特に複数店舗を運営する企業では、一つの新メニューが物流・発注・マニュアル・POS設定まで広く影響する。したがって商品開発では「話題になるか」だけでなく、「既存オペレーションにどれだけ乗せられるか」を確認する必要がある。
既存商品の再編集は利益を守りやすい
ドミノの「裏メニュー」のように、既存の主力商品やトッピングを組み替える方式は、新規食材の増加を抑えながら新商品として訴求できる。個店でも同じ考え方を使える。人気の唐揚げを別ソースで展開する、既存デザートとドリンクをセット化する、通常の丼を期間限定の盛り付けに変えるなど、原材料を大幅に増やさずニュース性を作る方法がある。
季節感は来店理由になる
モスのさつまいも商品は秋という季節を明確に打ち出している。飲食店では来店頻度が固定化すると、常連客が新しい理由を求める。定番商品を維持しながら、季節商品を数品入れ替えることで「今行く理由」を作れる。ただし期間限定商品は販売期間を明確にし、終了時の在庫を逆算して発注量を減らす運用が必要だ。
商品開発は売上ではなく粗利益で評価
限定商品が売れた場合でも、広告費、専用包装資材、廃棄、調理時間まで含めると利益が残らないことがある。商品ごとに販売数、売上、食材原価、追加人件費、廃棄量を記録し、終了後に検証するべきだ。SNSで多く投稿された商品でも、店舗側の収益に貢献していなければ次回は設計を変える必要がある。
小規模店ほど「一つの食材を複数商品で使う」
個人店や小規模チェーンが大手と同じ頻度で新商品を投入する必要はない。むしろ一つの季節食材を前菜、主菜、デザートなど複数商品で共用し、食材消化率を高める方が安全だ。2026年のメニュー開発は、目新しい食材を増やす競争ではなく、既存資産をどう組み替えて新しい体験に見せるかが重要になっている。原価高の時代には、開発力とオペレーション設計力を同時に持つ店舗が強い。
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