スケルトン物件で飲食店を作るメリットと、契約前に確認すべき設備インフラ

結論:スケルトンは「何もないから自由」ではなく「何もないから費用が読みにくい」
コンクリート躯体が露出し、内装や厨房設備がないスケルトン物件は、設計自由度が高いことが最大の魅力です。ブランドイメージを重視するレストランや新業態では理想的な空間を作りやすい一方、飲食店に必要な設備を一から構築するため、契約前調査が不足すると工事費が大きく増えます。
内見で最初に見るのは床・壁ではなく設備
飲食店の施工費を左右するのは、仕上げ材以上に建物インフラです。最低限、給水、排水、電気、ガス、排気、空調、消防設備を確認します。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 給水 | 引込径・位置・水量 |
| 排水 | 管径・位置・勾配・接続先 |
| 電気 | 受電可能容量・単相・三相 |
| ガス | 供給有無・容量 |
| 排気 | ダクト経路・排出口 |
| 空調 | 室外機置場・能力 |
排水位置で厨房レイアウトが決まることもある
厨房を好きな場所に配置できると思っていても、排水管まで長距離を横引きすると床上げが必要になります。床を上げれば客席との段差、天井高さ、バリアフリー計画にも影響します。
地下店舗では自然勾配で排水できず、排水槽やポンプが必要になるケースもあります。その場合は機器費だけでなく保守管理も必要です。
排気ダクトを屋上まで通せるか
焼肉、中華、ラーメン、焼鳥などでは大量の排気が必要です。店舗から屋上までダクトを新設する場合、共用部を通過するため貸主の承諾が必要になったり、外壁への施工が認められなかったりすることがあります。
スケルトンだから重飲食ができるとは限りません。物件申込前に希望業態を具体的に伝え、排気工事の可否を確認します。
電気容量は厨房機器表から逆算する
IH、電気フライヤー、食器洗浄機、冷蔵庫、製氷機、空調などを使用すると必要電力は大きくなります。建物全体の受電設備に余裕がなければ、希望容量まで増設できないこともあります。
施工会社へ厨房機器リストを渡し、必要容量を計算してから物件側の供給能力と照合します。
スケルトン返しも確認する
入居時がスケルトンでも、退去時に同じ状態へ戻す義務がある場合、施工した厨房、天井、壁、床、設備配管等の撤去費が将来発生します。開業工事だけでなく撤退費まで事業計画に入れておく必要があります。
契約前チェックポイント
- 設備図面を入手する
- 施工会社と現地調査する
- 厨房レイアウトを仮作成する
- 必要電気・ガス・排気量を計算する
- 室外機とダクトルートを確認する
- 貸主工事と借主工事の区分を確認する
- 退去時の原状回復条件を確認する
スケルトン物件は設計の自由度と引き換えに、設備条件を借主側で解決する範囲が大きくなります。内見段階から設計施工担当者を参加させることが、予算超過を防ぐ最も有効な方法です。
